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The New England Journal of Medicine
Editorial:
Shakur-Still H, Roberts I. Tranexamic acid for trauma patients — more lives to save and outcomes to consider. N Engl J Med 2023;389:181-3.
Articles:
・PATCH-Trauma Investigators and the ANZICS Clinical Trials Group. Prehospital tranexamic acid for severe trauma. N Engl J Med 2023;389:127-36.
・Pacheco LD, Clifton RG, Saade GR, et al. Tranexamic acid to prevent obstetrical hemorrhage after cesarean delivery. N Engl J Med 2023;388:1365-75.
・Devereaux PJ, Marcucci M, Painter TW, et al. Tranexamic acid in patients undergoing noncardiac surgery. N Engl J Med 2022;386:1986-97.
■日本発の抗線溶薬であるトラネキサム酸が世界に広がる
トラネキサム酸tranexamic acid(TA)は,岡本彰祐と岡本歌子によって1962年に開発された抗線溶薬である。日本では止血薬として広く使用され,美白有効成分として化粧品にも含まれていたりする一般的な薬物であった。
それが2000年代に入り,同じ抗線溶薬であるアプロチニンが腎障害を起こすなどの理由で使用されなくなったことと,2010年代に入り,重大な外傷性出血患者や,分娩後出血患者に対してTAを早期投与すると,患者の予後を改善することが大規模ランダム化比較試験(WOMAN trial)で示され,がぜんその投与の重要性が認識されるようになった。現在では世界保健機関(WHO)必須医薬品モデルリストに収載されている。
外傷性出血に対して発症後3時間以内にTAを投与すると院内死亡率が低下することが,Clinical Randomisation of an Antifibrinolytic in Significant Haemorrhage (CRASH) -2 trialで示されている。さらに,CRASH-3 trialでは,外傷性脳損傷患者に受傷後3時間以内にTAを投与すると,軽症から中等症の患者の損傷関連死亡率が低下することが示されている。一方,TA投与による血栓塞栓症の発生リスクについては,長いこと議論が行われている。
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