徹底分析シリーズ 「抜管」と向き合う
全身麻酔後の抜管前に考えていること—私的抜管戦略
河村 岳
1
Gaku KAWAMURA
1
1東京大学大学院医学系研究科 外科学専攻生体管理医学講座 麻酔科学教室
pp.368-372
発行日 2024年4月1日
Published Date 2024/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202890
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「抜管前に考えていること」というお題をいただいた。挿管する目的が全身麻酔中の気道・呼吸管理のみであれば,多くの場合,全身麻酔後は抜管する。個々の麻酔科医がそれぞれ最も良いと思う方法で抜管されていると考えるし,結果が良いのであればそれでまったく問題はない。本稿では個人的な考えを述べるので,実臨床では患者の病態や各施設の特徴,経験にあわせて実施していただきたい。なお,気道周囲の手術で術後気道閉塞が心配になる症例とか,神経系の手術で術後十分に覚醒が得られない症例,呼吸器系に疾患があって人工呼吸が術後も必要になる症例などの抜管について本稿では扱わない。また,循環が安定している状況で抜管に臨むべきだが,循環をどう安定化させるかについても述べない。予定手術で気道に問題がなく,一般的なリスク因子がない患者の抜管にあたり,手術と麻酔の3要素との関連について抜管前に筆者が考えていること,特に鎮痛と人工呼吸器離脱に関して私見を述べる。
集中治療室では,抜管前に人工呼吸器離脱プロトコル1)に従った評価を行うことが多い(図1)。手術室でこのプロトコルにそのまま従うことは少ないが,抜管に至る考え方は参考になる。
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