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抜管後24~72時間までに再挿管を必要とする,いわゆる抜管の失敗extubation failureは,全抜管患者の2~25%において発生する1~6)とされ,再挿管率は,内科系ICU患者のほうが,外科系ICU患者よりも高い7~10)とされている。また,患者側の危険因子としては,抜管時の重症度1,3),70歳以上の高齢患者1,3,8,10),意識障害患者6),抜管前の人工呼吸器管理期間10),肺気腫患者11),貧血(ヘモグロビン濃度10g/dL以下,ヘマトクリット値30%以下)12),抜管後の仰臥位13),持続鎮静14),患者と医療従事者の比率15,16)などが知られている。そして,抜管の失敗によって再挿管を余儀なくされた患者の死亡率は,抜管に成功した患者よりも有意に高い1,3~7)。
そこで,抜管したものの再挿管をきたすことがないように,抜管の成功・不成功を予測する因子として,Epstein17)はさまざまな評価項目を挙げている。結局のところ,自発呼吸トライアルspontaneous breathing trial(SBT)に成功し,かつ,適切な咳反射が存在し,痰の量が極端に多くなく(吸痰の間隔が2時間以上),上気道保持が可能かどうか,が抜管成功の予測因子として有用である,としている。
このなかで,上気道の保持に関与する因子としては,抜管時の意識レベルと,抜管後喉頭浮腫の存在があり,その発症を予測する手段として「カフリークテスト」の有用性18~20)が多数報告されてきた。さらに,抜管後喉頭浮腫を予防する方法としてステロイド投与の有効性21~28)が多数報告されている。
本稿では「抜管後喉頭浮腫の診断・予防・治療」に焦点を絞り論じる。
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