症例検討 予期せぬICU入室 1
抜管後の低酸素血症—抜管は慎重に
立花 怜
1
,
吉田 仁
1
Ryo TACHIBANA
1
,
Hitoshi YOSHIDA
1
1富山県立中央病院 麻酔科
pp.1002-1006
発行日 2017年10月1日
Published Date 2017/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200975
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症例
25歳の男性。身長178cm,体重82kg。慢性扁桃炎に対して口蓋扁桃摘出術が全身麻酔下で実施された。止血操作にやや難渋し,手術時間は1時間30分を要した。手術終了後スガマデクスを投与し,筋弛緩からは十分に回復した(TOF ratio>0.9)ことを確認した。機械的刺激による創部からの再出血を懸念して,抜管前の盲目的な口腔内吸引は行わなかった。呼びかけに対して開眼することを確認して抜管した。
抜管後,吸気時喘鳴とシーソー様呼吸を認めたので,用手的気道確保とマスク換気を試みたが,カプノグラムの波形が得られなかった。酸素を5L/minで投与していたが,2分後に経皮的末梢動脈血酸素飽和度(SpO2)が80%まで低下した。この時点で喉頭痙攣を疑い,持続的気道陽圧を試みたが改善しないので,直ちにプロポフォールとスキサメトニウムを静注して再挿管を行った。100%酸素による陽圧換気を続けたが,SpO2は95%以上には上昇しない。胸部聴診で両肺野にcoarse cracklesを聴取したので気管内吸引を行うと,淡紅色の泡沫状分泌物が多量に吸引された。
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