症例ライブラリー 小児の術中気道トラブル
Down症候群のマスク換気と気管挿管
一柳 彰吾
1
Shogo ICHIYANAGI
1
1あいち小児保健医療総合センター 麻酔科
キーワード:
両手VE法
,
巨舌
,
two-curveセオリー
Keyword:
両手VE法
,
巨舌
,
two-curveセオリー
pp.218-221
発行日 2024年3月1日
Published Date 2024/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202845
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■症例
10歳,Down症候群(コラム1)1)の男児。身長113cm,体重27kg。
歩行時に足を引きずるようになり,X線,CT,MRI検査を行ったところ,高度な環軸椎亜脱臼(コラム2)2,3)がみつかった。頸椎MRIでは歯突起-環椎後弓間での高度な頸髄圧迫を認め,C1-C2レベルでの脊髄髄内輝度変化を認めた。軽度精神発達遅滞(3歳程度)が指摘されており,術前に頸椎保護具は装着できない。今回は後頭骨軸椎間固定術が予定された。
整形外科医から,MRIで一部脊髄の変性が認められているので,前屈も後屈も行わないでほしいと要望があった。
既往歴:甲状腺機能低下症に対してチラーヂン®を内服中。短頸と巨舌が以前から指摘されている。夜間のいびきがあり,以前,近医で受けた簡易ポリソムノグラフィーでは夜間就眠中の最低経皮的末梢動脈血酸素飽和度(SpO2)は88%であった。寝ている体勢は腹臥位が多い。
■麻酔経過1
前投薬は行わず,手術室に入室した後に,好きな動画を見せながら末梢静脈路を確保した。しかし,児が暴れて前酸素化は十分に行えなかった。フェンタニル60μgを投与した後,プロポフォール60mgを投与して全身麻酔を導入した。しかし,片手法(ECクランプ法)では十分な胸の上がりを得られず,カプノグラムの波形も出ない。またたく間にSpO2が下がってきた。
さて,あなたなら,どうする?
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