徹底分析シリーズ —なるほどナットク!—ICUにおける人工呼吸—前編
FIO2と肺傷害—酸素投与は本当に必要なのか?
佐藤 暢一
1
Nobukazu SATO
1
1東京都済生会中央病院 麻酔科・集中治療科
pp.178-181
発行日 2024年2月1日
Published Date 2024/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202833
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集中治療管理と酸素濃度
重症患者の治療に酸素療法は欠かせない。ヒトは酸素を取り込み,好気性代謝によってATPを産生しエネルギーを得ている。酸素供給が滞ることで,好気性代謝が阻害され嫌気性代謝となり,乳酸が生成され代謝性アシドーシスなどの原因となる。特に脳は好気性代謝に依存するため,低酸素虚血に対する耐性が低い。そのため重症患者や救急患者には常に酸素投与を考慮する。しかし,高濃度酸素投与は時に傷害を与えることも知られている。古くは1967年にNorthwayらが人工換気後に死亡した未熟児呼吸促迫症候群(RDS)症例において,病理学的に肺疾患の原因が高濃度酸素投与によるものであると報告している。この肺疾患は,気管支肺異形成症bronchopulmonary dysplasiaとして知られるようになった1)。
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