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人間にとって酸素は必要不可欠であり,さまざまな医療現場でも使用されている。一方で,活性酸素の産生などによる酸素の副作用,毒性も報告されている。高濃度酸素吸入によって,肺ではARDS様の組織学的変化,吸収性無気肺形成,気道粘膜クリアランスの低下などがみられる。高酸素血症の全身への影響としては,血管収縮作用とそれに引き続く心拍数低下・心拍出量低下によって,心臓や脳などの重要臓器への灌流低下がみられることがある。近年,酸素療法の最適な目標値に関する臨床研究が盛んに行われるようになってきた。患者サブグループによって効果はさまざまであり,病態に合わせた適切なアウトカムを設定することが重要である。
Main points
●高濃度酸素の弊害は,高濃度酸素吸入による気道・肺への傷害と,高酸素血症による全身への影響がある。
●酸素毒性の主役と考えられている活性酸素は,生体防御において重要な役割を果たしている。その一方で,生理的な抗酸化作用によって除去しきれなくなると過剰な活性酸素が蓄積し,生体の構造や機能を担っている核酸,タンパク,脂質などに傷害を与え,細胞死に至らしめる。
●高濃度酸素吸入によって,肺ではARDSに似た組織学的変化(透過性亢進による肺水腫,ヒアリン膜の形成,肺血管内皮傷害,線維化像など),吸収性無気肺形成,気道粘膜クリアランスの低下などがみられる。
●高酸素血症の全身への影響として最も際立った問題は,血管収縮作用とそれに引き続く心拍数低下,心拍出量の低下によって,組織灌流の低下を引き起こすことである。
●酸素療法の目標値に関する臨床研究で用いられるアウトカムと得られた結果は,患者サブグループによりさまざまであり,病態に合わせた適切なアウトカムの設定が重要である。
Oxygen therapy is commonly prescribed for critically ill patients, primarily for the prevention or treatment of hypoxia. Oxygen therapy and subsequent hyperoxemia may also be injurious to lung tissue and other organs. Oxygen toxicity to the lungs includes histopathological changes similar to those seen in acute respiratory distress syndrome, absorption atelectasis, and impaired mucus clearance. Hyperoxemia may also decrease heart rate and cardiac output due to an increase in systemic vascular resistance and vasoconstriction, which may result in decreased organ perfusion, especially to the brain and heart. The effect of oxygen titration by targeting oxygen saturation have been tested in various subgroups of critically ill patients. However, there have been conflicting findings due to heterogeneous patient populations. Future randomized controlled trials should focus on the use of appropriate outcome measures based on patient characteristics.
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