- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Anesthesia & Analgesia
Article:
Gavilan E, Fernández E, Minguell J, et al. Efficacy of presurgical interventions to promote smoking cessation:a systematic review. Anesth Analg 2023;136:43-50.
■周術期禁煙プラクティカルガイドのこと,知っていますか?
厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査報告」によると,習慣的に喫煙している成人の割合は16.7%であり,男性27.1%,女性7.6%となっている。この10年間でいずれも有意に減少してきている。年齢階級別にみると,30〜60歳代の男性ではその割合が高く,約3割が習慣的に喫煙している。世界における喫煙率は約20%であり,日本は喫煙率が低い国になりつつある。
喫煙が周術期の死亡率や合併症発生率上昇に関与する,という認識は深まってきている。日本麻酔科学会は2008年6月に「禁煙宣言」を行い,2015年3月には「周術期禁煙ガイドライン」を制定し,そして,2020年6月に行ったMEDLINEと医学中央雑誌の周術期禁煙に関する文献の系統的レビューに基づいて作成した「周術期禁煙プラクティカルガイド」を2021年9月に出している。喫煙や受動喫煙は,多くの手術で創感染,肺合併症,脳神経合併症や骨癒合障害などの発生率を上昇させるほか,人工関節の再置換率増加や,冠動脈バイパスグラフトの術後グラフト開存率低下が起こることを述べている。受動喫煙は咳,喉頭痙攣,気管支痙攣,酸素飽和度低下などの発生率を増加させる。
術前禁煙によってこれらの合併症発生率は低下する。術後呼吸器合併症は術前8週間以上の禁煙で50%減少し,4週間以上の禁煙で約25%減少するとされている。周術期禁煙のために術前の禁煙介入を行うことを推奨しており,それが長期にわたる禁煙率を上昇させることにも触れている。
Copyright © 2023, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.