- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
The New England Journal of Medicine
Review Article:
van Dam RM, Hu FB, Willett WC. Coffee, caffeine, and health. N Engl J Med 2020;383:369-78.
■カフェインと麻酔科医
大人になれば,ほとんどの人が毎日,コーヒーや紅茶,日本茶,ウーロン茶,コーラ類などを飲むであろう。これらの飲料には多かれ少なかれカフェインが含まれている。日本食品標準成分表によれば,100mLに含まれるおおよそのカフェイン量は,コーヒー60mg,紅茶30mg,煎茶20mg,ウーロン茶20mg,コカ・コーラ10mgとなっている。チョコレートにも含まれている。米国では85%の成人がカフェインを摂取し,その平均摂取量は1日135mgといわれている。
当直明けの朝にフレッシュなコーヒーの香りを嗅いだだけで,確かに目が覚める思いがしたものである。ちょっとぼんやりしていると,“Wake up and the smell the coffee.(目を覚ませよ)”などといわれてしまう。古い考えに固執したりしていると,皮肉って“Wake up and the smell the coffee.(現実を見よ)”といわれることもある。
このレビューに刺激されて,麻酔科医が関心をもつカフェインの作用も調べてみた。乳児の無呼吸の治療としてテオフィリンやカフェインが用いられている。未熟児の術後無呼吸や徐脈,低酸素血症の予防効果について,Cochraneレビューではエビデンスは不十分であるとしている。悪性高熱症の診断にはcaffeine-halothane contracture test(CHCT)が用いられている。硬膜穿刺後頭痛の治療にカフェイン投与がある。300mgの経口投与で50%の患者では頭痛は軽快するものの,その効果は短時間であると報告されている(Anesth Analg 1990;70:181-4)。500mgの静注は40〜80%の患者で頭痛軽減に有効であることや,脳血流量が22%減少することも報告されている。
Copyright © 2020, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.