Japanese
English
特集 体内のセンサー
総説
深部体温の受容
Central thermoreception
中山 昭雄
1
Teruo Nakayama
1
1大阪大学医学部第二生理学教室
pp.2-12
発行日 1975年2月15日
Published Date 1975/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903031
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はじめに
体温調節において,もつとも主要な入力となつているのは,皮膚温と視床下部温で,それぞれに温受容器と冷受容器によつて検出されている。これらは体温調節反応の発現のみならず,温度感覚の面からも詳しく研究されているが,この特集が「体内のセンサー」であり,また紙数の都合もあるので,皮膚温度受容器に関する記述はすべて割愛した。なお皮膚の受容器はHenselによつて精力的に研究されたが,文献(43)に,最近までの成果が簡明にまとめられているので,ご参照いただきたい。
細胞の活動が結局は複雑な物理・化学反応の連鎖である以上,温度によつて影響を受けることは当然であり,ニューロンもまたその例外ではない。すべてのニューロン活動が多少とも温度によつて変化することは古くから知られているところで,皮膚機械受容器も,温度刺激が強い場合には一過性の動的反応を示す。しかし温または冷受容器の動的反応や定常反応に比較すると,その温度特性というか感度はきわめて低い。しかし両者の間に明瞭な定性的の差違があるわけではない。同じことは中枢神経系のニューロンについてもいえる。大脳皮質のニューロンは一般に局所脳湿の低下に伴つて放電頻度の増加を示すものが多い。しかし大脳皮質を局所加温しても体熱放散反応は発現しないし,また温覚が生じるということもない。
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