症例検討 予期せぬICU入室 2
術中大量輸血後の術後呼吸障害—不足を恐れて,ひたすら輸液・輸血をすると…患者を溺れさせます
飯島 毅彦
1
Takehiko IIJIMA
1
1昭和大学歯学部 全身管理歯科学講座歯科麻酔科
pp.1108-1113
発行日 2017年11月1日
Published Date 2017/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200999
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症例
70歳の男性。身長160cm,体重55kg。幽門側胃切除の既往があり,癒着性イレウスに対して緊急開腹イレウス解除術が必要となった。陳旧性心筋梗塞と高血圧の既往があり,ビソプロロールとアムロジピンを服用している。硬膜外麻酔併用全身麻酔を行うこととした。術前ヘモグロビン(Hb)値は8.0g/dLであった。癒着剝離中に大血管を損傷し大出血し,総出血量が2500mLとなり,赤血球液(RBC)10単位,新鮮凍結血漿(FFP)15単位,濃厚血小板(PC)20単位を投与した。術中にヒドロキシエチルデンプン(ボルベンⓇ)を1000mL,酢酸リンゲル液3000mLを投与した。手術終了時のHb値は8.5g/dLであった。尿量は5時間の手術で500mLであった。閉腹時から経皮的末梢動脈血酸素飽和度(SpO2)の低下と気道内圧上昇があった。
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