特集 輸血のすべて
Part 3 特殊な状況での輸血
11.大量出血:外傷—大量輸血プロトコルを軸とした重症外傷患者への輸血戦略
前澤 翔太
1
,
久志本 成樹
2
Shota MAEZAWA
1
,
Shigeki KUSHIMOTO
2
1大崎市民病院 救急科
2東北大学病院 救急科・高度救命救急センター
pp.143-150
発行日 2024年12月1日
Published Date 2024/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218804090120010143
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外傷に伴うショックの最大の原因は出血性ショックであり,外傷による急性期死亡の30〜40%は大量出血に起因する1)。重症外傷患者の転帰は,外傷そのものの重症度に加え,治療による侵襲が大きく影響する。これに対して,1990年代になり,外傷急性期の初回手術は止血と汚染コントロールのみを目的とするdamage control surgery(DCS)の概念が明確に提示された2)。近年,重症外傷の治療には,輸液制限,低血圧の容認,外傷性凝固障害に対する大量輸血プロトコル(MTP*1)の導入など,DCSとともに行うdamage control resuscitation(DCR)とする蘇生的アプローチが展開されている3,4)。
本稿では重症外傷に対する輸血療法とともに,外傷に伴う大量出血による生体への影響を解説する。
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