徹底分析シリーズ 心臓麻酔ステップアップ:オフポンプ冠動脈バイパス術
第3の道:心拍動下オンポンプ—患者の邪魔をしない 外科医の邪魔もしない
有澤 創志
1
Shoji ARISAWA
1
1神戸麻酔アソシエイツ
pp.446-450
発行日 2017年5月1日
Published Date 2017/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200849
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前回(LiSA 2016年9月号)「心筋梗塞に対するオンポンプ冠動脈バイパス術」を解説した際に,心拍動下オンポンプ冠動脈バイパス術beating heart on-pump coronary artery bypass grafting(BH-ONCAB)にも少し触れた。オフポンプ冠動脈バイパス術(OPCAB)の称揚がひと段落した今,BH-ONCABの重要性も相対的に増すと思われる。BH-ONCABは,心拍動下というOPCABの特徴を保持したまま,より安全に心臓の脱転ができ,長時間の吻合にも耐えやすいのが利点であり(当然のことながら緊急の体外循環移行はゼロ),逆に通常の心停止を伴う冠動脈バイパス術conventional on-pump coronary artery bypass grafting(conventional CABG)と比べた場合,上行大動脈クロスクランプ(遮断)の回避,心筋保護液投与の回避がBH-ONCABの利点と考えられる。
本稿では,まず各々の手術方法について利点,不利な点を比較した後,麻酔について触れる。ただし,conventional CABG,OPCABに比べて臨床例,研究報告ともに豊富ではないため,多分に筆者の考えや経験にもとづくところも多いことに留意していただきたい。
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