症例検討 周術期神経障害 1
巻頭言
森本 康裕
1
1宇部興産中央病院 麻酔科
pp.465
発行日 2016年5月1日
Published Date 2016/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200569
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- 文献概要
周術期の神経障害はけっしてまれではない。その原因には,脊柱管ブロックや末梢神経ブロック,血管穿刺などの侵襲的な手技によるもの,手術中の体位によるもの,手術侵襲や術中に使用したターニケットによるもの,さらに患者側にも要因はある。以前は,砕石位による総腓骨神経麻痺は比較的多い合併症であったが,体位や下肢の支持法の改良によりその頻度は減ってきた。一方,とかく悪者にされがちなのは麻酔科の手技である。硬膜外鎮痛中の患者の下肢に神経障害が発生すると,硬膜外麻酔が原因とされがちである。近年,末梢神経ブロックが普及してきたが,ブロック領域に術後何らかの神経障害が残存した場合には,ブロックが原因とされる可能性は高い。このような状況でわれわれ麻酔科医に求められるのは,周術期神経障害に対する正しい知識と実際に障害が発生した場合の対応法であると考えて本特集を企画した。
まず,総説で知識を整理した後に,症例を通して神経障害について考えていく。どの症例も,考えられる原因はいろいろある。筆者が診断に至る過程を,推理小説を読むような感覚で一緒に考えていただきたい。
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