症例検討 薬をめぐるトラブル<後編>
麻酔導入後の治療抵抗性の低血圧—慌てず騒がず理論的に
平井 昂宏
1
,
西脇 公俊
1
Takahiro HIRAI
1
,
Kimitoshi NISHIWAKI
1
1名古屋大学医学部附属病院 麻酔科
pp.254-258
発行日 2016年3月1日
Published Date 2016/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200524
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症例
60歳の男性。身長172cm,体重76kg。早期胃癌に対して胃切除術が予定された。高血圧があり,アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)とカルシウム拮抗薬を服用しており,日常の血圧は120〜140/80〜90mmHg程度である。30数年前に気胸の既往がある。1日20本25年の喫煙歴がある。特記すべき検査所見はない。
T7/8から硬膜外カテーテルを頭側に5cm挿入し,1%リドカイン3mLを注入した。レミフェンタニル0.4μg/kg/minで投与を開始し,その後プロポフォール100mgを静注した。ロクロニウム50mgを投与後,気管挿管を行った。気管挿管後の血圧は68/40mmHg,心拍数は60bpmであった。エフェドリン5mg投与後の血圧は72/44mmHgであった。
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