徹底分析シリーズ 麻酔手技に伴う合併症とインフォームドコンセント
患者側代理人の立場から—患者を医療の主体に
安原 幸彦
1
Yukihiko YASUHARA
1
1東京南部法律事務所
pp.1100-1103
発行日 2015年11月1日
Published Date 2015/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200422
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患者側弁護士が患者から,治療行為に伴う有害事象が発生したという相談を受けた場合,三つの観点から責任の所在を検討する。第一は,有害事象を発生させたことについて責任があるかどうかである(発生責任)。冒頭の総論「合併症とは」にもあるように,本徹底分析では,発生責任がない有害事象を合併症と定義しており,本稿でも基本的に発生責任は取り扱わない。第二は,有害事象を早期に把握し,これに対する対応が十全であったかどうかである(治療責任)。治療責任は,発生責任の有無を問わず問題になる。治療責任も本稿のテーマではないが,念頭にはおいておく。第三は,有害事象を事前に説明していたかどうかである。これが説明責任である。発生責任がなく,治療責任を尽くしていても,説明責任が問われる場合がある。本稿はもっぱらこの説明責任の観点から,患者側弁護士の立場で合併症について論じる。
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