特集2 患者の気持ち 家族の気持ち 代理決定をめぐる看護の課題
―[患者家族の立場から]―納得できる代理決定
羽江 育子
pp.356-359
発行日 2005年4月1日
Published Date 2005/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100126
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
はじめに
2003年5月,私は自宅で母(享年88歳)を看取りました.点滴(電解質維持液)だけで1か月,点滴の針を抜いて1週間後のことでした.
母が入退院を繰り返した4年余り,とりわけ言葉も発せず寝たきりで過ごした在宅での1年間は,母のいのちにかかわる選択にも迫られ,私の心は大きく揺れました.
しかし,今,自宅で母を看取ることができたことをとてもありがたく思っています.たくさんの方々,とりわけ看護師をはじめとする医療者のみなさんにサポートしていただかなければできなかったことですが,いくつかの決断の局面を越えて,結果として納得のいく看取りができたと感じています.この経験は今,私の宝になっています.母を喪った悲しみも,「いただいたもの」への感謝と母を看取ることができたという充足感で薄らいだように思います.
本稿では,その経験を振り返り,患者家族の立場から代理決定について考えてみたいと思います.
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.