今月の臨床 生殖医療とバイオエシックス
体外受精
2.代理母
星合 昊
1
1近畿大学医学部産科婦人科
pp.1028-1030
発行日 1999年8月10日
Published Date 1999/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903735
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
体外受精—胚移植により,1979年にSteptoe &Edwardsらが世界初の,1983年に鈴木らが本邦初の生児を得てからおよそ20年が経過した.この間,排卵誘発法・超音波採卵・培養技術・顕微授精などの技術の進歩により,当初,体外受精—胚移植と呼ばれた診療技術も生殖補助医療(assistedreproductive technology:ART)と呼ばなければならないほど広範に応用可能な診療法となった.さらに,良質な培養液・極細ピペットの販売により,当初最も知識と技術が必要であった過程がなくなり,さらにこの診療技術は普及した.本来,科学技術の進歩による臨床応用の拡大には慎重であるべきにもかかわらず,広範な応用と普及により実際の臨床応用と医学的適応の間に大きな解離が生じ,種々の社会問題を起こし始めた.
今回,本稿を書く機会をいただいたので,代理母をテーマとして科学的技術の進歩と必要性および臨床応用への問題点に関する私見を述べる.
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.