徹底分析シリーズ 研修医の素朴な疑問に答えます 病態生理を中心に
周術期に失明するのはなぜか
廣田 弘毅
1
,
山崎 光章
1
HIROTA,Koki
1
,
YAMAZAKI,Mitsuaki
1
1富山大学大学院医学薬学研究部 麻酔科学講座
pp.834-835
発行日 2014年9月1日
Published Date 2014/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101102214
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スーザン・ボールドウィンさんは71歳の女性である。急性腹症のため緊急開腹手術を受けることになった。彼女は大腸癌のため1週間前に結腸切除術を受けており,術後性腹膜炎が疑われた。既往に高血圧と冠動脈疾患があったが,最近,症状はなく安定している。全身麻酔はプロポフォール,フェンタニル,ロクロニウムで導入し,デスフルランで維持した。開腹所見で吻合部に縫合不全が認められ,腸切除とドレナージ手術が施行された。手術終了後,スーザンさんはすみやかに麻酔から覚醒した。スーザンさんの意識は清明で,自分がどこにいて,何のために,どんな手術を受けたのか,明確に答えることができた。彼女は何の異常も訴えなかった。ただ一つを除いては… 「この部屋は真っ暗なの? 私,何も見えないけど…」 (Anesthesiology 2007;106:869-70より,改変)
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