徹底分析シリーズ 産科出血は怖くない!(前編)
産褥出血の原因を考慮して対応しよう!―物事はなるべくシンプルに考えよう
角倉 弘行
1
,
竹元 葉
2
SUMIKURA,Hiroyuki
1
,
Yo TAKEMOTO
2
1順天堂大学医学部 麻酔科学・ペインクリニック講座
2順天堂大学医学部 産婦人科学講座
pp.534-537
発行日 2014年6月1日
Published Date 2014/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101102141
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先進国においては産科出血による母体死亡は減少傾向にあるが,日本では依然として母体死亡の主たる要因である(図1)1)。日本麻酔科学会と日本産科婦人科学会などの関連学会は,2010年に産科危機的出血の対応ガイドライン(図2)を提言した2)。この提言では,出血量が経腟分娩の場合は1L,帝王切開の場合は2Lを超えたとき,またはショックインデックスが1を超えたときには静脈路を確保し,十分な輸液を行って,バイタルサインを監視しながら,高次施設への搬送や輸血も考慮しつつ,出血原因の検索と除去にあたることが推奨されている。これらの対策をとっても出血が持続し,循環動態が安定しない場合には,産科危機的出血が宣言されるわけであるが,早い段階で出血原因の検索と除去を適切に行えば,危機的出血の大半は回避できるはずである。なかには,いきなり産科危機的出血を宣言せざるを得ないような急激に進行するケースもあるが,そのような場合でも,対症療法にとどまらず,出血原因の検索と除去(根治療法)を行うことは,母体を救命するために非常に重要である。
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