徹底分析シリーズ 低侵襲化する呼吸器手術とその周術期管理
術後の呼吸器合併症―リスクの評価,予防と発症後の早期介入が大切
永田 紗弥子
1
,
小林 克也
2
,
竹田 晋浩
2
Sayako NAGATA
1
,
KOBAYASHI,Katsuya
2
,
Shinhiro TAKEDA
2
1日本医科大学 麻酔科学講座
2日本医科大学付属病院 集中治療室
pp.446-449
発行日 2014年5月1日
Published Date 2014/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101102121
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呼吸器手術後の呼吸器合併症のなかで頻度が高いものは,肺炎,気管支断端廔,肺廔,膿胸,急性肺傷害(ALI)/急性呼吸促迫症候群(ARDS),間質性肺炎の増悪,がある。一般的な術後の呼吸器合併症の発生リスクは,喫煙(1.4~4.3倍),ASA-PSⅡ以上(1.7倍),手術時間3時間以上(1.6~5.2倍),胸部・上腹部手術(10~40%),により高まる。加えて,慢性閉塞性肺疾患(COPD)(2.7~4.7倍)などの基礎疾患も挙げられる。呼吸器手術後,特に肺切除術後の呼吸器合併症の予測因子として,年齢,術前6か月間の10%以上の体重減少,COPDの存在,術前の4単位以上の輸血,アルブミン低値,片麻痺,喫煙,息切れの存在,を挙げた報告がある1)。
一般的な手術においても,呼吸器手術においても,術後呼吸器合併症のリスク因子として,喫煙とCOPDが挙げられており,術前の禁煙や呼吸器ケアの重要性は数多く報告されている。
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