徹底分析シリーズ 麻酔のリスクマネジメント
コラム:医療安全全国共同行動<行動目標S「安全な手術」>の紹介
西脇 公俊
1
NISHIWAKI,Kimitoshi
1
1名古屋大学大学院医学系研究科 総合医学専攻 臨床医学領域 麻酔・蘇生医学分野
pp.340-342
発行日 2014年4月1日
Published Date 2014/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101102095
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●米国におけるキャンペーン
1999年,米国医学研究所(IOM)から医療事故に注目した「人は誰でも間違える(To Err is Human)―より安全な医療システムを目指して」という報告書が出された。それによると,医療技術の急速な発展に対して医療システムや制度改革が遅れた結果,入院患者の3~16%に医療行為に伴う何らかの有害事象が生じており,そのうち半数強は回避可能なもので,これらの有害事象に関連して年間44000~98000人の米国人死亡者が発生している可能性があり,それは交通事故や乳がんによる死亡者より多い,という驚くべき内容であった。
医療システムの質と安全を早急に改善する必要があると認識され,米国医療改善研究所Institute of Health-care Improvement(IHI)が,2005年に病院での事故死を10万人減らそうというキャンペーンを開始し,その後,年間500万件の有害事象を減らす運動に発展した。これらは,10万人の命を救えキャンペーン,500万人の命をまもるキャンペーン(“100K/5Mキャンペーン”)と呼ばれる。これらのキャンペーンは大きな成果を収めた。
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