徹底分析シリーズ 冠攣縮
冠攣縮と麻酔―十分な術前評価にもとづく適切な全身管理と麻酔管理が基本
原 哲也
1
Tetsuya HARA
1
1長崎大学医学部 麻酔学教室
pp.748-752
発行日 2013年8月1日
Published Date 2013/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101889
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冠攣縮は,心臓の表面を走行する太い冠動脈が,一過性に異常に収縮した状態とされている。冠攣縮性心筋虚血によって起こる心電図変化は,側副血行路のない貫壁性の虚血であればST上昇,末梢に側副血行路がある非貫壁性の虚血であればST下降として認められる。
ところが,麻酔中の冠攣縮に関する報告のほとんどは,ST上昇型の心電図変化である。この理由の一つとして,非心臓手術で起こる冠攣縮は,労作狭心症の既往歴がない症例に多く発症していること1)が考えられる。
冠攣縮性狭心症の診断については,他稿(「冠攣縮性狭心症の診断と治療に関するガイドライン」732ページ)に詳しいが,日本循環器学会などの合同研究班による「冠攣縮性狭心症の診断と治療に関するガイドライン」2)は,麻酔科医にとっても有益な情報が多いので一読をお勧めする。
本稿では,麻酔中の冠攣縮について解説する。
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