Japanese
English
解説
労作によりおこる冠攣縮
Exercise-induced coronary spasm
泰江 弘文
1
,
中村 夏樹
1
,
藤井 裕巳
1
,
久木山 清貴
1
,
木村 忠司
1
Hirofumi Yasue
1
,
Natsuki Nakamura
1
,
Hiromi Fujii
1
,
Kiyotaka Kugiyama
1
,
Tadashi Kimura
1
1熊本大学医学部循環器内科
1Division of Cardiology, Kumamoto University School of Medicine
pp.1217-1222
発行日 1985年10月15日
Published Date 1985/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204754
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狭心症は心筋が一過性に虚血つまり酸素不足に陥ったために生ずる臨床症候群である。従来から,労作によって誘発される狭心症つまり労作狭心症は,冠動脈に固定した器質的狭窄が存在するために,労作によって生ずる心筋の酸素の需要の増加に対して供給が追いつかないために発生すると説明されて来た1,2)。したがってその治療には心筋の酸素需要を減少させるβ遮断剤が使用され,又ニトログリセリンが発作に対して有効であるのも器質的狭窄のある冠動脈に対しては効果は期し難く静脈系を拡張させ心臓へ還る血流量を減少させ,したがって心臓の仕事量を減少させるためであると説明されて来た3)。一方,安静時に出現し心電図のSTの上昇を伴う異型狭心症は冠動脈の攣縮(冠攣縮)によるものであることが明らかにされ4),更にST下降を伴う安静狭心症もほとんどが冠攣縮と関連していることも解明されつつある5)。異型狭心症を最初に記載したPrinzmetalらは本症は運動によっては惹起されないのが特徴であると報告した6)が,その後異型狭心症の多数例において運動によってもSTの上昇を伴う発作が誘発されることが確認され,また労作時のみに生ずるST上昇を伴う狭心症例も多数存在することが明らかにされ,これら労作時に出現するST上昇を伴う狭心症と異型狭心症との異同が問題とされた。
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