徹底分析シリーズ 静脈血栓塞栓症
ICUでの静脈血栓塞栓症の予防―血栓予防指針を策定し,施設全体で取り組もう
山本 剛
1
Takeshi YAMAMOTO
1
1日本医科大学付属病院 集中治療室
pp.560-563
発行日 2013年6月1日
Published Date 2013/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101843
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ICU患者は,敗血症,癌,心不全,呼吸不全,脳血管障害などの基礎疾患に加えて,術後の人工呼吸器管理,鎮静薬や筋弛緩薬の投与,中心静脈ライン留置,長期臥床など,多くの血栓形成因子を有するため,静脈血栓塞栓症(VTE)の発症リスクが非常に高い。VTEは,血栓予防が行われていないと,24~32%のICU患者に認められる。また,ICUにて肺血栓塞栓症(PTE)を発症した場合,患者は不安定な病態や基礎疾患を有しているため重症化しやすく,さらに出血リスクが高いことも多いため,治療に難渋することも少なくない。このため,VTE発症予防策は非常に重要であり,ICUでは標準化された血栓予防法を確立しておく必要がある。PTEは院内死亡原因の中で,最も予防可能とされ,適切な予防を講じれば,発症率は半減するとされている。
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