連載 ヒューストン留学記(その後)
持てるものと,持たざるもの
石黒 達昌
pp.519
発行日 2013年5月1日
Published Date 2013/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101835
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「日本は資源に乏しい国ってことになっていますけれど,近海の海底にはメタンプレートというのが広がっていて,天然ガスみたいに燃やせるんですよ」と,エネルギー関係の研究会で聞いたのが,今から10年以上前のことでした。当時はまだまゆつばものの印象だったメタンプレートが,ここにきて一気に話題の主役になりつつあります。同じく島国で資源に乏しかったイギリスが北海油田を掘り当てたことを考えれば,黒いダイヤモンド景気の再来もあながち夢ではないかも。
ただ,アメリカに住んでいた経験からすると,持たざる国の気楽さというのがあるのも事実です。私がいたテキサス州はアメリカの中でも随一の産油州でしたが,長年石油会社に勤めていた隣人の話では,もうどこの油田も産油量が減り,今後30年以内にアメリカの石油が枯渇するのは確実だ,ということでした。そして,「その日」の到来に対して,差し迫った危機感を抱いていました。ブッシュ元大統領はテキサスの出身で,同じ危機感の中,イラクへの侵攻を進めていったような気がしてなりません。シェールガスで一息ついているとしても,懸念はいまだに残っているはずです。
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