特別寄稿
産む本人も立ち会う夫も持てる力を発揮できる場所で産みたい
入江 拓
pp.793-797
発行日 1997年9月25日
Published Date 1997/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901785
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
立ち会い出産に関して,その方法やありかた,是非に至るまで,これまでさまざまな論議がなされてきています。最近では主体的なお産に関する情報も,氾濫する育児雑誌やマスコミを通してようやく夫たちの耳にも届きはじめているように思いますが,夫自身からのそれに対する問題提起や関心は依然として乏しいように思われます。
自分の大切な人が,出産という人生の中でも大きな出来事を経験するわけですから,その場所がどこであれ,立ち会い出産は,私にとっては当然のことでした。しかし,現実には仕事のためにその当然と思っていたことを実践することが,いかに難しく葛藤を伴うか,ということも体験しました。今回,立ち会い出産の体験談ということで報告する機会をいただきましたが,正直なところ夫の立場から,これらのことを公にするのは,この原稿を書いている今でも,やはりためらいを感じます。なぜならば,出産というのは「つき詰めれば夫婦のこと,極めてプライベートなこと」だからです。
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.