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◆4月の初めは,スーツに着られてしまった新入社員を目にします。たまに,行くべき方向を見失った羊のようなトホホな姿もありますが,春の青空のもとだと微笑ましくもあり,季節を感じさせる光景です。嬉しいことに,弊社も2名の新卒社員を迎えました。
◆新入社員が真っ先にやることは,“電話とり”です。かつて,「もしもし」と会社の電話に出て怒られていた新人がいたことを思い出し,第一声は「はい,メディカル・サイエンス・インターナショナルです」なのだ,と教えたりしています。そこで小姑全開に続けます。「ちなみに,“インターナショナル”を省略したくなりますが,それは誤りです。“メディカルサイエンス社”という別会社があるので,面倒でも,舌が回らなくても,きちんとフルネームを言いましょう」と。
手術室では,患者取り違えを防ぐために,患者のフルネームを確認します。名前を正しく把握することは,対象を正しく把握するための基本です。鑑別診断も,名前を確認するためのものと理解しています。
◆本来「名前」には,そのものを的確に表現し,かつ類似するものと区別できることが求められるわけで,だからこそ,名前がないものに新たに名前を付けるのはとても難しい。Alzheimer病とかHansen病と,人名をそのまま利用している疾患名が散見されるのは,名付けの難しさゆえと想像しています。
本当は,疾患の中身までイメージできる名前になると,非専門家には助かるのですが,かといって,Alzheimer病を「大脳皮質萎縮性記憶認知機能障害」と称されても,結局よくわからないので,仕方ありません。
◆雑誌の編集作業でも,特集や各論稿のタイトルをどうするか,見出しをどこに入れるか,どんな見出しをつけるか,そんな“名付け行為”で悩んでばかりです。
「名は体を表す」というように,タイトルをおざなりにすると,内容もおざなりになってしまいます。特集でも連載でも単行本でも,メインタイトルが企画立案時に“ビシッ”と決まると,執筆者と編集者が同じ目線で同じ方向に向かうことができ,中身が詰まったものになりやすいのです。LiSAでも,かつての名作として関係者の口から出てくるのは,「あなたの麻酔How much」とか「こだわりの局所麻酔」など,タイトルも秀逸です。
ただ悲しいことに,“ビシッ”と決まる言葉が浮かぶことは非常にまれで,制限時間内で精一杯に言葉をつなげている,というのが実情です。
◆LiSAは,読者からのご意見・ご感想は大歓迎です。記事の中でもっとよいタイトルを思いつかれたら,ぜひお電話ください。
ただし,電話口で「メディカルサイエンスです」と言われたら,それは間違い電話です。番号を確認のうえ,おかけ直しください。
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