徹底分析シリーズ 周術期の低体温
止血・凝固系への低体温の影響―血小板は血液内の温度受容器
中嶋 康文
1
NAKAJIMA, Yasufumi
1
1京都府立医科大学大学院医学研究科 麻酔科学教室
pp.24-29
発行日 2012年1月1日
Published Date 2012/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101423
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周術期において約7割以上の手術患者に起きる中枢温36℃以下の軽度低体温や,種々の原因で起きるシバリングは,約50年前から臨床研究の対象になっていたことを過去の文献から紐解くことができる。すでに1960年代の周術期軽度低体温に関するケースシリーズ研究において,麻酔導入直後に急激な中枢温の低下がみられ,その後は徐々に体温が低下していく一定のパターンをとるとの記述があることや,麻酔導入直前に最低10分間の患者加温を試みれば,術中の低体温は予防できることから,低体温の原因は熱の再分布によるものではないか1)との推論がみられる事実は驚きである。
本稿は,低体温による止血凝固系への影響を観察した文献をレビューし,その根底にある動物の生理現象について考える。
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