Medical Scope
新生児期の低体温の影響
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.570
発行日 1980年8月25日
Published Date 1980/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205752
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今回もアメリカでの第5回周産期医学国際シンポジウムの話題ですが,皆さんは出生した新生児をひやしてはいけない,あたためるのだ……といつも教えられているはずです。ことに,低出生体重児であればあるほど,その必要があることもよく御存知でしょう。ところが,胎児は母体の子宮内では高体温でいるために,外界に生まれてくるということそのものが,新生児にとってはつめたいという刺激,つまりコールド・ストレスcoldstressとよばれるストレスとなるのです。このコールド・ストレスは,出生した新生児に対してどんな影響を与えるのでしょうか。そんな新生児の体温変化に対する解説です。
まず胎児時代には,ということは,羊水中に胎児がいるときには,胎児の脳の温度は約40.0℃に保たれています。したがって,出生後は外界からのコールド・ストレスのために,この高温状態はだんだんと下降してきます。何といっても,最初に出現するコールド・ストレスの影響は血管系の収縮であり,その次に影響としてでてくるのは代謝率が増加することです。つまり,酸素やエネルギー源がよりたくさん要求されるようになるということになります。
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