Japanese
English
文献抄録
低体温の冠血流に及ぼす影響
The Effect of Immersion Hypothermi Coronary Blood Flow
百瀬 達也
1
1東大美甘内科
pp.309
発行日 1954年9月15日
Published Date 1954/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200174
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
13頭の麻酔犬を開胸し,その全身の約3分の2を氷水中に浸し,体温を低下させた場合の冠血流の変化を観察した。血圧と冠血流との関係は右房温度が約40℃から28℃に下降するに従い,動脈圧は徐々に低下し,脈圧は減少する。28℃以下になると,血圧は急に低下する。このような動脈圧の変化に対し,冠血流量は初期には急激に減少し,後期には減少度が緩徐となる。体温20℃では血圧20〜40mmHg,冠血流量は略々一定となり10cc/minの程度になる。今この状態になつた場合,ポンプ灌流によつて冠灌流圧のみを初期の血圧にまで順次あげていくと冠血流量は増加していくが,その値は体温下降の際の各血圧値に応じて示した冠血流量の値より著るしく高い値を示した。即ち低体温でも灌流血圧が上昇すると,冠血流量が著しく増し,冠抵抗は減少を示す。しかし大動脈圧,心摶数には著変が見られない。そこで左房の電気的刺戟により心摶数を増加させると,冠血流量は減少する。体温20℃,冠血流量10cc/minで心摶数1分間19を示したものは,これを50〜70に増加させると冠血流量は零になつた。エピネフリンを静注すると,心搏数,冠血流量,大動脈圧は増加するが,数分後に心室細動を起した。低体温時のエピネフリン使用は考慮を要する。
Copyright © 1954, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.