徹底分析シリーズ 麻酔に役立つ血糖のお話
巻頭言
高木 俊一
1
1東京女子医科大学 麻酔科学教室
pp.1155
発行日 2011年12月1日
Published Date 2011/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101393
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- 文献概要
血糖は,周術期管理でも重要視されているので,麻酔科医にとって目新しいことではない。糖尿病患者が増加しているからだけでなく,糖尿病でない患者でも手術侵襲によるストレス性高血糖となることが多々あり,麻酔科医は麻酔中に血糖値の上昇をしばしば経験するからである。しかし,身近なことであるが故に,学生時代の知識と経験を頼りに実践を重ね,運がよい(?)ことに,重大な事故を起こさずに過ごせている。そのため血糖に疎くなり,新しい知識を得る機会を逸している,という者もいると思う。かく言う私もその一人である。
本徹底分析では,「術中だけをなんとか切り抜けて,術後は外科医にお任せ」という,その場限りの考えを捨て,一歩先を行く質の高い血糖管理ができることをゴールとしたい。今一度,糖代謝のメカニズムを復習し,新しい診断基準や新薬の知識を確認しよう。目標血糖値をどうするかは,結論が出ない議論ではあるが,最近のトレンドは押さえておきたい。また,麻酔科医であるならば,血糖管理に有用な麻酔方法を使わない手はないだろう。このような欲求に,糖尿病内科医,周術期を管理する集中治療医,外科医,麻酔科医から多角的にお話をしていただいた。
明日から積極的に糖尿病症例に向き合える,臨床麻酔に役立つ血糖の話がテンコ盛りである。是非,ご一読を。
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