症例検討 モニタリングのトラップ
―モニターを正しく使いこなすために―装着することよりも看視することが先! 酸素化異常は鋭敏な,循環異常は迅速な察知を
原 将人
1
,
牛島 一男
1
HARA, Masato
1
,
USHIJIMA, Kazuo
1
1久留米大学医学部 麻酔学講座
pp.1096-1099
発行日 2011年11月1日
Published Date 2011/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101379
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手術中の全身管理の技術は,モニターの発展とともに進歩を遂げている。殊に1980年代から始まったパルスオキシメータやカプノメータの普及は画期的で,これらにより呼吸状態の連続モニタリングが可能となった。米国麻酔科学会(ASA)のClosed Claims Project databaseをもとにした研究1)によると,麻酔管理に関連した重篤な合併症(死亡あるいは永続的な脳障害)のうち,呼吸管理の不具合が原因の割合は,この両者の普及とともに減少した。しかしこの報告では,麻酔管理全般に関連した合併症発生率低下は,これらモニターの普及だけではなく,麻酔科医への教育制度改善や,安全管理意識の向上などがともに関与すると結論づけていることは興味深い。いかに有用なモニターといえども,それが安全性につながるには,使用する側の姿勢が重要なのである。
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