症例検討 モニタリングのトラップ
巻頭言
山崎 光章
1
1富山大学大学院医学薬学研究部 麻酔科学講座
pp.1095
発行日 2011年11月1日
Published Date 2011/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101378
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- 文献概要
最近,初期研修医が麻酔を導入する際に,患者の胸の動きや肌の色を見ず,マスクからのリーク音やパルスオキシメータの音を聞かず,呼吸バッグを押す感覚を感じ取ろうとしない,いわゆる“患者みずしてモニターに夢中”状態をしばしば目撃する。そんな彼らは得てして,モニターで異常を見つけても,何が原因なのかは見つけられない。
たしかに,モニター機器から得られる情報は客観的であり,麻酔を行ううえで大切なデータを提供してくれる。上記のような例は極端かもしれないが,われわれ麻酔科医は,モニターに依存するあまり,モニターに使われていないだろうか。麻酔科医は,モニターを含めたあらゆる手段を用いて,周術期の患者の安全を守らなければならない。そのためには,モニターから得られる情報はとても有用だが,過信してはいけない。
本症例検討では,モニタリングに際し,モニターの原理を十分に理解し,その有用性と限界を知ったうえで使う必要のある場面が提示されている。
われわれは常に,麻酔科医としての五感を十分に研ぎ澄まし,モニターの長所・短所を理解して,総合的な判断をしながら麻酔管理をする必要があるのだ。
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