症例検討 麻酔でよく用いられる薬物の副作用
ナロキソンによるトラブル―古くて新しい薬 まずは予防,次に慎重,必要最小限を投与する
佐伯 昇
1
,
河本 昌志
1
SAEKI, Noboru
1
,
KAWAMOTO, Masashi
1
1広島大学大学院医歯薬学総合研究科 麻酔・蘇生学教室
pp.380-383
発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101206
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症例
47歳の女性。身長158cm,体重59kg。側頭の5cm大の髄膜腫に対して,腫瘍摘出術が予定された。プロポフォール2.0mg/kgとフェンタニル400μgで麻酔導入を行い,ロクロニウム50mgで筋弛緩を得た後に気管挿管した。麻酔維持にはセボフルラン,酸素,空気を用いた。術中出血は600mLであった。手術時間は6時間の予定が,4時間半で終了した。手術終了30分前にフェンタニル150μgを追加した。合計700μgのフェンタニルが投与された。ロクロニウムは30~40分ごとに20mgを追加した。
手術が終了し,ネオスチグミン2.5mgとアトロピン1.0mgを投与したが,自発呼吸が不十分であった。外科医がすぐに脳神経学的評価を希望したため,ナロキソン0.1mgを静注した。数分後,血圧が190/100mmHgへと上昇し,心拍数も90bpmとなった。SpO2は100%から92%へと低下した。
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