ワードスキャン
ナロキソン
花岡 一雄
1
1東京大学医学部分院麻酔部
pp.128
発行日 1988年2月1日
Published Date 1988/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921912
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痛みのコントロールは原則として末梢から攻めていきます.従って,通常は消炎鎮痛薬が第一選択として投与されます.たいていの炎症性の痛みはそれでコントロールされますが,手術操作による痛みは炎症性以外の機転によるいわゆる侵害刺激性のもので特に強いために,中枢性麻薬鎮痛薬の適応となります.
この麻薬は全身麻酔法であるニューロレプト麻酔やバランス麻酔における鎮痛補助薬として応用されています.この場合,投与経路は通常静脈内でありますが,患者の麻薬に対する感受性の相違から,患者により麻薬効果が著明となり,術後に呼吸抑制や覚醒遅延を呈することがあります.この対策として麻薬拮抗薬の投与が考えられます.麻薬拮抗薬を初めて発見したのはPohl(1915年〉で,ナロルフィンと呼ばれEckenhoff(1951年)により臨床使用されました。1953年にHamiltonらによりレバロルファンが紹介され,ナロルフィンよりも不快感などの副作用が少ないため,ナロキソンが発見されるまでは広く用いられてきました.
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