症例検討 薬物の拮抗における注意点
呼吸抑制患者におけるナロキソンによる拮抗
大城 匡勝
1
,
須加原 一博
1
Masakatsu OSHIRO
1
,
Kazuhiro SUGAHARA
1
1琉球大学医学部生体制御医科学講座 麻酔科学分野
pp.468-471
発行日 2007年5月1日
Published Date 2007/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100320
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症例
68歳の女性。身長153cm,体重62kg(BMI 26.5)。頸髄症C3-C6の後方固定術が行われた。プロポフォール,フェンタニルで麻酔導入を行い,術中はセボフルラン,亜酸化窒素,酸素で維持し,筋弛緩薬にはベクロニウムを用いた。筋弛緩薬のモニターは行わなかった。4時間半の手術でフェンタニルを400μg用いた。
手術が終了し仰臥位に戻した。10分しても覚醒状態は不良であり,自発呼吸は回数も少なく,1回換気量も不十分であった。
経過:四連刺激反応で四連反応(TOF)比は0.9以上であり,呼気終末セボフルラン濃度も0.2%となったが,覚醒状態は不十分で自発呼吸はまだ不十分であった。術者から,神経学的評価を早くしたいのだがという要請があり,ナロキソンを投与することにした。
経過:ナロキソン投与後に患者は開眼し,自発呼吸回数も増加した。血圧が170/100mmHgと上昇し,心拍数も100bpmとなった。患者は痛みを訴え,不穏状態となった。
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