症例検討 電解質異常とその治療(その1)
ジギタリス服用患者の低カリウム血症:見逃すのは論外,次にジギタリス中毒に注意し補正は慎重に
山邊 健司
1
Kenji YAMABE
1
1公立豊岡病院 但馬救命救急センター
pp.276-281
発行日 2010年3月1日
Published Date 2010/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100892
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症例
84歳の女性。身長149cm, 体重39kg。僧帽弁閉鎖不全症と慢性心房細動にて,ACE阻害薬,ループ利尿薬,ジゴキシンによる経口薬物治療を受けていた。呼吸困難,下腿浮腫を訴えて来院したが,慢性心不全の急性増悪と診断,緊急入院となった。経口薬を中止,フロセミドとジゴキシンの静脈内投与にて治療を開始した。第7病日,心不全症状の改善を認め,経口薬に変更したが,食欲低下,嘔気を認めていた。第10病日,心電図モニターにてT波の平坦化がある程度だったが,多源性の心室性期外収縮を認めた。血行動態は安定,動悸を訴える程度であった。血液検査では,カリウム値は3.0mEq/L, ジゴキシン血中濃度は1.8ng/mLであった。そのほかに,クレアチニン値の軽度上昇を認めた。血液ガス分析では酸塩基平衡に異常なかった。
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