徹底分析シリーズ 素朴な疑問―これにて26件落着!
22件目―トラネキサム酸は出血量減少に有効か
進藤 一男
1
SHINDO, Kazuo
1
1兵庫県立尼崎病院 麻酔科
pp.352-353
発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101197
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●なぜ今,トラネキサム酸が注目されているのか?
抗線溶薬であるトラネキサム酸,ε-アミノカプロン酸,アプロチニンは,周術期の出血量と赤血球輸血の必要量を減らすことがメタアナリシス1)で示されており,心臓手術では輸血量減少を目的とした予防的投与が推奨されてきた(クラスI,エビデンスレベルA)2)。
なかでも,ウシの肺由来のプロテアーゼ阻害薬であるアプロチニンは,抗炎症薬としても期待されていた。しかし,後向き調査で,腎障害などの合併症の発症率が高く,長期死亡率を上昇させることが示唆され,ハイリスク心臓手術患者を対象とした多施設無作為化比較試験BART study3)*1では,データ収集途中で術後30日以内の死亡率が高いことが判明し,2007年末から販売が中止され,臨床現場から姿を消した。
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