今月の主題 出血とその対策
吐血・下血
出血量と重症度
川井 啓市
1
,
梶原 譲
2
,
藤本 荘太郎
2
Keiichi KAWAI
1
,
Yuzuru KAJIWARA
2
,
Sotaro FUJIMOTO
2
1京都府立医科大学・公衆衛生学
2京都第二赤十字病院・内科
pp.752-753
発行日 1981年5月10日
Published Date 1981/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217149
- 有料閲覧
- 文献概要
消化管出血には吐血・下血として認められる顕出血と潜血反応でのみ確認される潜出血とがある.とくに前者の場合には,外科的対応を含めた緊急処置の適・不適の決定を的確に下せるか否かが患者の生命を左右するので,迅速な病態の把握とともに,可能な限り正確に重症度を判定し,緊急内視鏡検査や血管造影を含めたX線検査により出血源の探索をする必要がある.
消化管出血の場合,重篤な全身消耗性疾患の合併がない限り,患者の重症度は出血量に比例すると考えてさしつかえない.したがってきめ細かな問診,臨床症状,血液生化学的検査成績などの情報を総合的に判断し,正確な全身状態の把握が必要とされる.出血に対する生体の反応は種々の要素が関係するために各人各様であり,何mlの出血があればこういう症状が見られ,血液検査ではHt値が何%となるなどの具体的な説明をするのは不可能といえる.しかしながら,注意深い観察により重症度の判定とともに大ざっぱな出血量の推定が可能であると思われるので,その基準となる考え方を述べてみたい.
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.