院内急変対応システムRapid Response System(RRS)とは何か?
RRSの夜明け,より安全な医療に向かって
松﨑 孝
1
,
酒井 哲郎
1
MATSUSAKI, Takashi
1
,
SAKAI, Tetsuro
1
1Department of Anesthesiology, University of Pittsburgh School of Medicine
pp.1134-1139
発行日 2010年11月1日
Published Date 2010/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101080
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近年,乳幼児を含むすべての年齢層の入院患者において,病態の悪化を早期に把握し対応することで,その予後を改善させ得る,というエビデンスが多数示されている。Rapid Response System(RRS)とは,入院患者の危機的状況を早期に察知し,その情報を通知し,危機管理に携わるチームメンバーを起動することで,院内の心肺停止の頻度を減少させることを目的としたシステムである。ここ十数年で,特に成人患者に対するRRSは,北米,オーストラリア,イギリス,スカンジナビア諸国などにおいて広く普及している。
RRSの質的改善のためには,さらなる予防策や危機が生じた後の対応策の改善などを講じることが必須である。このようなシステムの円滑な導入,さらに継続的な質的向上のためには,RRSの意義を理解し,監督・サポートする機構が必要である。それらの要素が有機的に働いて初めて,RRSにより心肺停止を未然に防ぎ,患者の予後の悪化を最小限にとどめることが可能になる。
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