連載 筆から想いは広がって・7
はるかなるものに向かって
乾 千恵
pp.902-903
発行日 2007年10月25日
Published Date 2007/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101102
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高らかに,静けさを破って突然その声は歌いだした。ラジオで耳にした,アグネス・ガルノスというノルウェーの女性歌手の声だ。「呼びかけの叫び」を意味するという曲名のとおり,強烈でのびやかな,まっすぐな想いをのせた声。即座に「この声は,赤だ!」と思い,次に「赤だけど,青い感じもするな…?」と不思議に思い,やがて「そうか,青の中を流れていく赤なんだ!」と思い至った。
早速その印象を,絵に描くことにした。ひたひたと寄せる波と断崖,その上に立つ一人の女性から,炎のような赤い「声」が,うねりながら天高く昇っていく。そんな画像が浮かび上がってきた。声の届く先は,丸い,立体的な月。その月からも応答の声が,緑色の火となって上がっている。
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