連載 院内急変対応システムRapid Response System(RRS)とは何か?
連載に向けての序:RRSとは何か?
児玉 貴光
1
,
藤谷 茂樹
1
1聖マリアンナ医科大学 救急医学
pp.980-981
発行日 2010年10月1日
Published Date 2010/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101044
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1984年に発表されたHarvard Medical Practice Studyでは,ニューヨーク州の51病院から約3万人の患者を抽出したところ,3.7%に医療事故adverse eventが発生しており,そのうちの27.6%が医療過誤negligenceによるものとされている1)。1999年に米国医学研究所Institute of Medicineより出版された「To Err Is Human : Building a Safer System」〔邦題『人は誰でも間違える:より安全な医療システムを目指して』(日本評論社)〕では,米国内で医療行為による有害事象で死亡したと考えられる患者数は年間44000~98000人にのぼる2)と報告された。
このような事実を鑑みて,米国においては医療現場で有害事象は起こり得るものという前提で対策が立てられるようになってきている。特にInstitute for Healthcare Improvementが医療安全の実現のために行った「100,000 Lives Campaign」や「5 Million Campaign」では,大きな成果が挙がったことが知られている3)。その一つがRapid Response System(RRS)の導入である。
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