徹底分析シリーズ 術後回復力増強(ERAS)プロトコール
麻酔科医からみたERAS:術中管理―やらねばならぬことがいっぱい!
太田 晴子
1
,
祖父江 和哉
1
OTA, Haruko
1
,
SOBUE, Kazuya
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科 麻酔・危機管理医学分野
pp.960-964
発行日 2010年10月1日
Published Date 2010/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101039
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ERAS(enhanced recovery after surgery)プロトコールは,2001年にヨーロッパで考案された術後回復力強化プログラムで,エビデンスにもとづいた周術期管理法による術後早期回復を目的としている1,2)。近年,外科領域では,より手術侵襲の少ない治療法が開発され,大幅に進歩してきた。特に,ERASプロトコール考案当初の対象症例であった結腸手術においては,鏡視下手術が広く普及し,術後早期回復の促進に大いに貢献してきたといえよう。一方,ERASプロトコールではチーム医療により,包括的な周術期管理を遂行することが重要とされる。すなわち,外科医のみでなく,麻酔科医やコメディカルなど周術期管理にかかわるすべての医療者の十分な連携が必要である。こうした点で,われわれ麻酔科医がERASプロトコールで果たす役割は非常に大きい。術前・術中,そして術後と,幅広くチーム医療の中心的存在として周術期管理にかかわり,ERASプロトコールを推進していくことが求められている。
本稿では,ERASプロトコールのなかでも,特に麻酔科医が中心となって管理に携わる術中麻酔管理(図1)について概説する。
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