症例検討 麻酔歴に問題がある患者のインフォームドコンセントと麻酔 2
術後に下肢の神経麻痺を起こした患者
相互理解を深め,患者の不安を希望にかえよう
岩谷 全亮
1
,
井出 雅洋
1
,
有澤 創志
1
IWAYA, Masaaki
1
,
IDE, Masahiro
1
,
ARISAWA, Shoji
1
1神戸麻酔アソシエイツ
pp.888-891
発行日 2010年9月1日
Published Date 2010/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101023
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1957年の米国における判例によってインフォームドコンセントの概念が形成され,現代まで患者-医師関係の根幹をなすものとなっている。本邦では1990年の日本医師会生命倫理懇談会において,医師の患者に対する説明と患者がその説明を理解・納得したうえで同意することとした。現代社会における医師と患者の関係が以前と比べて変化してきているのは事実であろう。しかし,昔も今も変わらないのは全人的対応が必要とされることであり,そういう意味では,むしろ現代のほうが,インフォームドコンセントによって患者との距離が近くなることで,良好な患者-医師関係を築きやすいともいえる。
信頼を得るということは相互理解である。今回は特に,前回の麻酔や手術で問題があったことから,前医との関係を踏まえてとりわけ慎重な対応や説明,言葉の選択が求められる。術前訪床に費やせる時間は決して多くはないだろうが,それでも麻酔科医は患者への説明と相互理解を深めることに注力すべきである。
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