特集 ノックアウトマウスリスト
序にかえて
「生体の科学」編集委員
pp.350
発行日 2000年10月15日
Published Date 2000/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902138
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最近の生命科学の目覚ましい発展は,多彩な新しい研究方法や技術の進歩に負うところが大きい。共焦点レーザー顕微鏡,クライオ電顕,X線顕微鏡などの形態観測技術,組織培養や光学的測定などの細胞生理学技術,種々のコンピュータプログラムと並んで大きな威力を発揮しているのが遺伝子ノックアウト技術である。
酵母に始まるこの技術はマウスに適用されて世界的に広まり,遺伝子とそれにより作られる蛋白質の働きを特定する際の一種の標準的な方法になっている。いわゆるポストゲノム時代にもっとも期待される,広く生物医学になくてはならぬ技術となってきた。従って近年世界中で作られるノックアウトマウスの数には夥しいものがあり,その世界バンク的な機能が要求されるようになった。一部はジャクソンラボで扱われているが,多くは製作した研究室で維持され,求めに応じて分与されることが多い。何処にどういうマウスがいるかという情報は専門家の狭い範囲においては流通しているが,一般の研究者には届かぬことも少なくない。我が国でもやがてそのようなバンクが作られると期待したいが,取りあえずは情報の流通を促進することが必要であろう。
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