特集 仕事の計画とまとめ
事業計画の実際例と内容分析
まとめにかえて
田中 恒男
pp.37-38
発行日 1963年6月10日
Published Date 1963/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202855
- 有料閲覧
- 文献概要
事業計画の三事例を拝見して,その熱心な仕事ぶりには改めて敬意を表するものである.しかし改まって説教する訳ではないが,これでよいのかという気がしないでもない.計画とは何のためにあるか.言うまでもなく業務の目的を遅退なく円滑に,しかも効果的に果たしてゆくための一手段であろう.ところが,その本質に至る余裕もないままに,数字のみで判断して計画のための計画化となってしまう傾向が一般の人たちの問になくもがななのである.これは大変大きな誤りである.よく似た誤りはちょうど指導することが目的で家庭訪問をするのと(手段としての家庭訪問)家庭訪問することが目的なのとでは意味が大きく異なるのだが月報などで業務成績を比べるのに指導件数何件だから良いとか悪いといえばよいものを,家庭訪問何件だから成績がよくないなどとよぶ誤りにもみられる.要は数字の違いではなくいかに目的を果たすべきかが大切なので,数字はその一側面を表現したにすぎないのである.
ここでもとりあげられている業務測定は,本来の趣旨はよいのだが,保健婦への与え方,受けとり方が悪かったために,数字のあそび化したとはいえないだろうか.たとえ,いくら業務測定をしても,結局は過去のシルエットをうつしたのにすぎない.それをそのまま将来の計画にあてはめるなどはあまりほめられることではない.
Copyright © 1963, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.