特集 妊産婦死亡の現状と削減に向けた対策
各論
産科麻酔 無痛分娩における高位脊髄くも膜下麻酔
大杉 枝里子
1
,
加藤 里絵
1
OHSUGI Eriko
1
,
KATO Rie
1
1昭和大学医学部麻酔科学講座
pp.399-402
発行日 2023年3月10日
Published Date 2023/3/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000825
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仮想事例
32歳,G1P0。既往歴,妊娠歴に特記事項なし。39週5日に陣痛発来で入院した。入院時所見は,子宮口開大4cm,血圧115/74mmHg,脈拍数75bpm,SpO2 98%(室内気)。陣痛のたびに痛みで顔をしかめていた。硬膜外カテーテルを留置し,カテーテルから1%キシロカイン® 3mLをテストドーズとして投与した。産婦はすぐに「痛みが楽になってきました」と笑顔を見せた。そこで0.25%マーカイン® 8mLを無痛分娩導入薬として投与したところ,2分後に「足が全く動かない」と落ち着かない様子で訴えた。血圧測定中に「息ができない」と訴えたため,助産師がドクターコールした。血圧73/52mmHg,心拍数98回/分,SpO2 91%であった。4分後に到着した産科婦人科医が産婦の名前を呼ぶと,うっすらと開眼した。血圧58/30mmHg,心拍数42bpm,SpO2は測定できず。胎児心拍数80bpm。呼吸の有無が確認できなかったため,とりあえずバッグバルブマスクで人工呼吸を開始した。応援を呼び,高次施設への搬送を決定した。同時にエフェドリン4mgを静注した。
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