症例検討 電解質異常とその治療(その2)
うつ病に対するリチウム治療:安易に薬物中毒と判断すると,後で痛い目にあう
齋藤 伸行
1
Nobuyuki SAITO
1
1日本医科大学千葉北総病院 救命救急センター
pp.376-379
発行日 2010年4月1日
Published Date 2010/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100914
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症例
62歳の女性。身長145cm,体重38kg。うつ病と診断され,近医にて炭酸リチウム600mg/日の投与が開始された。以後,精神症状の安定化が得られ,リチウム血中濃度も0.9mEq/L前後に維持されていた。10日ほど前に発熱などの感冒様症状を認め,次第に食思不振,嘔吐などの消化器症状が進行して傾眠状態となったため,近医より救急転送された。心電図にて高度の徐脈(34bpm)とQTc延長(0.56秒)を認めたため,リチウム中毒を疑い緊急入院となった。入院時の血中リチウム濃度は2.3mEq/Lであった。
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