徹底分析シリーズ 麻酔科医の知らなければいけない免疫
最強免疫道場
岩坂 日出男
1
Hideo IWASAKA
1
1大分大学医学部 麻酔科学講座
pp.824-830
発行日 2009年9月1日
Published Date 2009/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100739
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侵襲に対する生体防御反応としては,免疫,内分泌,神経系が中心となって反応すると考えられている。免疫系と炎症反応は同一現象と考えられ,さらに血液凝固も炎症反応と関係していることが明らかとなっている。これらの反応系は相互に連携しクロストークを形成している。免疫系はその中心的役割を果たしている。
自然免疫はマクロファージや樹状細胞によって迅速に対応し,その後獲得免疫が発動する。自然免疫系と獲得免疫系には密接な連携が認められる。マクロファージが細胞表面のToll様受容体(TLR)のようなパターン認識受容体で病原体を認識すると病原体に応じた抗原提示が行われる。病原体特異的抗原提示と共刺激分子シグナルによりヘルパーT細胞が刺激され,細胞性免疫を主とするTh1細胞,液性免疫を主とするTh2細胞への抗原特異的T細胞, B細胞の分化増殖からなる獲得免疫系が発動される。侵襲制御には免疫・炎症反応を周術期を通じて過不足なく管理することが安全で質の高い麻酔管理につながると考えられる。
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